JMMA『不眠症から抜け出したい』⑦(続・睡眠の質って何?)

~不眠症は眠ったのに眠れていない?!~

前回に引き続きお話ししていきます。

不眠症の方は、脳波の状態はある程度眠れているのに、「眠れていない」と感じてしまいます。これは、眠ったことを感じる機能が低下しているということなのですが、このような状態を、「睡眠状態誤認」といいます。

脳波で測定した実際の睡眠時間と主観的な睡眠時間の差が大きい場合、「睡眠状態誤認」と診断されます。

 

 

これはどういうことでしょうか?

人間は本来時計がなくても、頭の中で時間の長さをカウントすることができる時間認知機能があり、不眠症の方はこの時間認知機能の低下が深く関わっています。

*時間認知機能とは、

時間の経過や時間の長さを、物理的な計測手段(時計・タイマー)などに頼らずに、主観的に把握することです。

この時間認知機能はトレーニングで向上します。

例えば、ボクサーやアナウンサーの方は、体の中で数分、数秒のカウントができるようになります。

また、カップラーメンが好きな人であればいちいちタイマーを使わなくても、食べごろの時間を把握できる方もいます。

 

 

不眠症の場合、時間認知機能に歪みが生じる

不眠症の方の最大の関心事は睡眠時間なのですが、肝心の時間認知機能が正常に働きません。つまり、不眠症の場合、時間認知機能に歪みが生じているのです。

具体的に言うと、「何時間、眠れていますか?」と不眠症の方にたずねた場合、

  • 実際に眠れた時間は、自分で感じていた睡眠時間よりも、2時間以上長い

  • 実際の中途覚醒の長さは、自分で感じた中途覚醒の長さよりも、2時間ほど短い

不眠症は患者さん自身の“体験談”をもとに改善策を導いていくのですが、このように睡眠に関しての実際の時間と自分で感じる時間に差があるので治療も難しくなります。

 

 

まとめ

慢性不眠症の大部分(ほぼ100%)は脳波で測定した実際の睡眠時間よりも眠りを短く感じる。同様に、寝つきにかかる時間(消灯から入眠までにかかる時間)も長く感じる。

脳波上の睡眠時間と主観的な睡眠時間の差が大きい場合は「睡眠状態誤認」という診断名がつけられる。睡眠状態誤認はれっきとした不眠症の1つの症状です。

睡眠状態誤認は、睡眠時間を正しく把握できない、時間認知機能の低下が関連している。

慢性不眠症の大部分(ほぼ100%)は脳波で測定した実際の睡眠時間よりも眠りを短く感じる。同様に、寝つきにかかる時間(消灯から入眠までにかかる時間)も長く感じる。

脳波上の睡眠時間と主観的な睡眠時間の差が大きい場合は「睡眠状態誤認」という診断名がつけられる。睡眠状態誤認はれっきとした不眠症の1つの症状です。

睡眠状態誤認は、睡眠時間を正しく把握できない、時間認知機能の低下が関連している。

ここで考えないといけないのが、

 睡眠状態誤認は自分で考えているよりも実際には寝ているのだから、不眠症でも軽症でないのか? 

ということです。

実は この考え方は間違いです。 

実際、脳波上の睡眠時間がある程度保たれていても、寝つきの悪さに苦しみ、睡眠時間を短く感じて熟眠感がないと、

日中にも倦怠感やうつ気分、パフォーマンスの低下が生じるなど、その症状は 不眠症と変わりありません 

不眠症とは、個人的な体験や症状などで判断されます。

(**不眠症の国際的な診断基準は「睡眠時間が○○時間以下」「目覚め回数が△△回以上」などの具体的な指標は一切取り入れられていません。)

眠りから目覚めた後に、疲労回復感があり、日中に眠気もなく心身共に元気に働くことができる、それが質の良い睡眠が取れているという判断基準になります。

不眠症の治療の目標は、不眠症状に対する不安恐怖を軽減し年齢相応の生活機能を取り戻すことと言われています。

日中の生活に支障をきたすような症状が出てきた場合は、専門医に相談することが必要です。

不眠に悩んでいる方が、睡眠力を高めるために自分で行う睡眠見直し方法がありますので、

次回、紹介していきますね。