2021/05/29
何度も寝る多相性睡眠・夜まとめて寝る単相性睡眠
哺乳動物は、1日に何回も眠る「多相性睡眠」なのですが、人間は、農耕生活を始め居住地で「昼に活動して夜に眠る」生活が定着したことで、夜間6~8時間連続して睡眠をとる、単相性睡眠になりました。
夜中何度も目が覚めて、長時間の連続した睡眠をとれないことを不安に思う人は多いのですが、私たちが哺乳動物ということから考えるとあまり気にしなくてもいいのかもしれません。
大切なのは、分割して睡眠をとっても深い睡眠がとれていればよいのです。
(*注意:個人差があります)
今回はこの分割してとる睡眠、分割睡眠についてお話していきます。
(人それぞれの分割睡眠がありますので、これらの例はすべての人に当てはまるというわけではありません)
分割睡眠とは、7時間~8時間のまとまった睡眠時間を、昼寝や仮眠によって複数の眠りに分けること。
夜勤をしなければならない人や、総睡眠時間を削りたいほど忙しい人が取り入れています。
分割睡眠のメリット:
夜勤をすると、本来眠るべき時間帯に眠れないため、疲労感や起きている時に強い眠気を感じることが増えてしまいがちですが、分割睡眠を取り入れることで夜勤中、夜勤後の疲労感の軽減することができます。
分割睡眠のデメリット:
しかし、分割睡眠によって総睡眠時間を短くできることは、科学的に証明されていないようです。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校睡眠障害センターの所長、アロン・アビダン博士は、
多相性睡眠のメリットを示す臨床研究はほとんどないと指摘しています。
1日の睡眠時間が7時間未満だと、記憶障害や糖尿病などのリスクが高まります。
分割睡眠の効果については、科学的な検証が乏しく、賛否が分かれています。
夜勤や徹夜仕事などの場合には、自分に合った分割睡眠を取り入れていく必要がありますが、総睡眠時間を削減する目的での分割睡眠には、考える余地がありそうです。
そこで、世界でも紹介されている分割睡眠について紹介していきます。
夜の長い睡眠と1回の昼寝で構成されるのが「シエスタ・スリープ(Siesta Sleep)」です。
シエスタは、午後の眠気を取り除くために合理的で、昼休みの時間を利用すれば実現可能な分割睡眠だといえます。
オーストラリアのフリンダース大学心理学部の実験の結果では、10分間の昼寝をしただけで、認知能力や疲労度などが改善され、
その効果は155分間も持続したそうです。
しかし、20分以上昼寝をすると、目が覚めてから認知能力が機能しはじめるまでの時間が長くなってしまうので、
長すぎる昼寝はよくないようです。
また、この昼寝を、「パワーナップ(power nap)」と呼ばれ、生産性の向上が期待できるので、最近では、オフィスに仮眠スペースを設置する企業も増え、導入しているところが増えてきているほどです。
「エヴリマン・スリープ(Everyman Sleep)」は、3時間半のまとまった睡眠と20分の仮眠3回という構成なので、夜は短めに眠り、こまめな仮眠をとって眠気を取り除くというイメージです。
これは「多相性協会(Polyphasic Society)」によって紹介されているのですが、多相性協会によると、エヴリマン・スリープは、分割睡眠による総睡眠時間短縮法として、最も成功したものだそうです。
総睡眠時間は4時間半なので、一般的な7時間睡眠と比べ、2時間半短くなります。
同じく、多相性協会によると、多相性睡眠として最も有名なのが「ウーバーマン・スリープ(Uberman Sleep)」です。
まとまった睡眠をとらず、一日6回、20分の仮眠をとるというスタイルです。
合計で一日2時間しか眠れない睡眠で、疲労が蓄積して、毎20分の睡眠で起きるのは難しそうです。実行も大変そうですね。
思想家のバックミンスター・フラー(1895~1983)が考案した
「ダイマキシオン・スリープ(Dymaxion Sleep)」というのがあります。
まとまった睡眠をとらず、一日に4回、30分の仮眠をとるというスタイルで、総睡眠時間2時間。
多相性協会によると、「最も恐ろしい」とコメントがあります。
この分割睡眠スタイルで問題ない人もまれにいるのかもしれませんが、すすめられるものでなさそうです。
分割睡眠スタイルのなかには、とても無理だと思えるものもありますね。
大切なのは、自分の生活スタイルに合った睡眠をとることです。
そして、活動中に疲労感、眠気がない健康な生活を送ることです。
日本眠活眠育協会
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