なぜあくびをするのですか?

 

大人、赤ちゃん、さらには動物もあくびをします。

 

科学者たちは、なぜあくびをするのかいくつかの仮説を提案しています。

最近の研究は、あくびが疲れていることを単に示すだけでなく、重要な生理学的または社会的機能を果たす可能性があることを示唆しています。

 

あくびについて①

退屈な活動中に脳を目覚めさせるためのあくび

 

あくびをするとき、顔と首の筋肉を動かすので研究者は、このあくびによって頸動脈(首を通って脳へ血液を送る主な血管、頸動脈)を刺激し、心拍数の増加と目覚めを促進するホルモンの放出につながり、カフェインの効果と同様に覚醒を促進します。

特に、受動的行動(自分の意志からでなく、他に動かされてする行動)時にあくびは起こりやすくなります。

 

あくびについて②

あくびは脳を冷やす

 

あくびは脳の体温調節のために必要なことです。

あくびをすると、顔の筋肉は動いて収縮し、顔への血流を増加させます。

同様に、新鮮な空気の深呼吸を取ることは脳に涼しい血液を送るのに役立ちます。

 

この熱調節の理論は人間と動物の研究が進められています。

例えば、インコの研究では、周囲温度が上昇すると、より多くのあくびをすることがわかりました。

 

人間の研究では、ビデオを見ている研究対象者の額に暖かいパックまたはアイスパックを置いたところ、温かいパックをした人はあくびの回数が多かったことが分かっています。

 

また、別の研究では首の温度はあくびに影響を与えることも分かっていて、首を温めるとあくびの回数が増えます。

 

環境温度の変化とあくびの体温調節の研究も行われました。

参加者に冬と夏の間に何回あくびをしたかを調べたところ、暖かい夏の間のあくびの回数が冬に比べて多いことが報告されています。

 

不安、脳卒中などでは、コア体温(コア温は脳などの重要な内臓の温度)を上昇させるため、

多くの場合、過剰なあくびを引き起こす原因となる場合があります。

これは、脳の体温を下げようとする働きなのです。

 

あくびについて③

伝染性のあくびは共感の能力にリンクされている

 

ほとんどの人は、あくびが伝染するという経験があるのではないでしょうか。

 

他の人があくびをするのを見たり聞いたりすると、自分自身もあくびをする傾向があります。あくびについて読んだり考えたりすることさえ、あくびを促す可能性があります。

 

あくびの伝染性は、人間や他の哺乳類がコミュニケーションを取るのに役立つ共感の反応であると言われています。

ある研究の結果では、自分に親しい、近い関係の人ほどあくびの伝染性が高いということが分かっています。

 

言い換えれば、人は見知らぬ人よりも友人や家族があくびをしているのを見た後にあくびをする可能性が高くなるということです。

 

社会的能力を妨げてしまう、統合失調症や自閉症スペクトラム障害などがあると、伝染性のあくびを減らす傾向があります。

なぜなら、あくびの伝染性は社会的能力、他の人がどのように感じているかを理解力することにより共感が起こりあくびが起こるからです。

これは、乳幼児にも言えることで、4〜5歳になるまでは伝染性のあくびの影響を受けにくいのです。

 

利己主義、無神経人々は、他人のあくびに応じてあくびをする可能性も低くなるということがこれらの研究で分かっています。

 

古いあくびの理論は、脳に十分な酸素が送られていないとき、あくびをすると言われていましたが、

最近の研究で、より多くの二酸化炭素を吸い込んでも、あくびが増加しないことが分かりました。

 

最後に、 あくびの回数 ですが、通常目を朝覚ました後から寝る前までに、1日に約28回あくびをすると言われています。

疲労、退屈な活動、伝染性によるものなどがないのに、あくびの回数が増え、過度のあくびは何かの異常の場合も考えられるので、専門医に相談することをお薦めいたします。

 

他の誰かがあくびをしているのを見たり、疲れたり、退屈したり、空腹で、ストレスを感じたりした後にあくびを毎日何気なしにしていますが、大切な役割があるのですね。


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