2022/10/14
季節の変わり目 秋になると・・気分が落ち込む。それは季節性感情障害かもしれません
季節の移り変わりが人間の気分に影響を及ぼすということは、何千年も前から知られていることで、秋から冬にかけて、きまって気分の落ち込みが見られる障害は季節性感情障害と呼ばれます。特に、北半球の高緯度地域に住む多くの人々は日照時間の減少が激しいため、その反応として起こりやすいことも分かっています。
うつ病の一種で、秋または冬に抑うつが始まり、春や夏になると治まるという特有のサイクルを繰り返します。症状の多くは、普通のうつ病と同じです。
季節性感情障害にみられる症状
- 元気が出ない
- 気分が落ち込む
- イライラ感
- 気力がない
- 人と会いたくない
- 物事を楽しめない
など
しかし、季節性感情障害には、普通のうつ病とは少し異なる症状もあります。非季節性のうつ病においては、眠れなくなり食欲もなくなるのが一般的ですが、季節性感情障害の場合は、睡眠時間が長くなり食欲も増すことが多く見られます。
冬の間、朝起きるのがとてもつらくなり、日中にも眠気を感じることが多くなります。甘いお菓子などの高炭水化物の食品をとても食べたくなることがあり、運動量も低下しがちなため、冬に太りやすくなります。
そして、うつ病は春になると回復しますが、約1/3の人が、春から夏にかけて気分がやや高揚した状態になると言われています。
この症状が出やすいのは女性で男性より約3倍多いということも分かっています。
冬になると体調の変化、うつ症状が出て日常生活に支障をきたすようならば、それは季節性感情障害の可能性があると考えられます。
冬の日照時間不足が原因が大きいと言われています。なぜなら光が不足すると脳内でセロトニンの分泌が減り、そのためにうつ病になりやすくなるからです。
その結果いつも疲れていて、何もしたくならなくなることで運動不足となり、それがさらにうつ病を悪化させることにもなります。食欲も増加することも見られ太りがちになってしまいます。
セロトニンは幸せホルモンと呼ばれ、「アドレナリン」「ドーパミン」と並ぶ重要な神経伝達物質です。
人間は日照時間が短くなり、セロトニンの分泌が少なくなると食欲が増加します。それは、セロトニンには人の気持ちを安定させるだけでなく、満腹中枢を刺激して食欲を抑える働きがあるからです。
セロトニンの減少にともない、身体はセロトニンを増やそうと、セロトニンをつくりだす材料の「トリプトファン」を体内に積極的に取り入れようとします。
トリプトファンは肉類やチーズなどの食物からしか摂取できないため、食欲が増すという現象が起こります。 これは、秋になると食欲増加になる科学的な根拠でもあります。
日照時間の短い時期にはできるだけ屋外に出て、日光に当たりセロトニンの分泌不足を防ぐことです。
また、適切な睡眠習慣もとても重要になってきます。
日照時間不足は体内時計が乱れる原因の1つで、季節的な時差ぼけのような状態になっているのです。
睡眠リズムを整え、適切な1日の体内時計を確立することが冬の間にはとても大切ですね。